あなたが生きるわたしの明日
「おっはよーございまーす!」
渡りに船。
突然、勢いよくドアが開いて、スーツを着たお兄さんが入ってきた。
「主任、今日も早いっすね」
私とほっちゃんの微妙な雰囲気にまるで気がつかないのか、お兄さんはそのまま大股で歩いて、漫画本がたくさん積まれたデスクに座ると、早くも片手でネクタイを緩めている。
「何巻まで読んでたんだっけなぁ」
目の前の漫画本をめくっては閉じ、他の漫画本に手を伸ばすと「あ、ここだわ」と嬉しそうな声を出した。
まだ学生といっても通用しそうな顔立ちと行動、それに話し方。
まるで高校生の男友達を見ているみたいだ。
年下の私からは見ても、頼りない感じがする。
頼りないどころか、この人は本当に会社員なのか疑いたくなる。
見た目は悪くない。
たとえるならば、人懐こい柴犬みたいな感じ。
かっこいいよりもかわいいと言われる方が多いんじゃないだろうか。
社員証を見ると『大原凪(おおはらなぎ)』と書いてある。
「凪くん」
私が呼ぶと、凪くんは「へっ!?」と間の抜けた声を出した。
よほど驚いたのか、読んでいた漫画も床に落としてしまう。
「今日から凪くんって呼ぶから、私のことは……あ、やっぱいいや」
松子と呼んでと言おうとして、さっきほっちゃんが泣きそうになったことを思い出した。
「え? え? どしたんすか、急に」
「別になんにもないけど」
凪くんはきょとんとしたままで、落ちた漫画も拾おうともしない。
仕方がないから、私が拾って、ついでにポンポンとほこりまではらって、渡してあげた。
「あ、あざっす」
「あ、どういたしまして」
凪くんと話しているとつい同世代のともだちと話してるみたいな気分になってしまう。
渡りに船。
突然、勢いよくドアが開いて、スーツを着たお兄さんが入ってきた。
「主任、今日も早いっすね」
私とほっちゃんの微妙な雰囲気にまるで気がつかないのか、お兄さんはそのまま大股で歩いて、漫画本がたくさん積まれたデスクに座ると、早くも片手でネクタイを緩めている。
「何巻まで読んでたんだっけなぁ」
目の前の漫画本をめくっては閉じ、他の漫画本に手を伸ばすと「あ、ここだわ」と嬉しそうな声を出した。
まだ学生といっても通用しそうな顔立ちと行動、それに話し方。
まるで高校生の男友達を見ているみたいだ。
年下の私からは見ても、頼りない感じがする。
頼りないどころか、この人は本当に会社員なのか疑いたくなる。
見た目は悪くない。
たとえるならば、人懐こい柴犬みたいな感じ。
かっこいいよりもかわいいと言われる方が多いんじゃないだろうか。
社員証を見ると『大原凪(おおはらなぎ)』と書いてある。
「凪くん」
私が呼ぶと、凪くんは「へっ!?」と間の抜けた声を出した。
よほど驚いたのか、読んでいた漫画も床に落としてしまう。
「今日から凪くんって呼ぶから、私のことは……あ、やっぱいいや」
松子と呼んでと言おうとして、さっきほっちゃんが泣きそうになったことを思い出した。
「え? え? どしたんすか、急に」
「別になんにもないけど」
凪くんはきょとんとしたままで、落ちた漫画も拾おうともしない。
仕方がないから、私が拾って、ついでにポンポンとほこりまではらって、渡してあげた。
「あ、あざっす」
「あ、どういたしまして」
凪くんと話しているとつい同世代のともだちと話してるみたいな気分になってしまう。