あなたが生きるわたしの明日
イライラしていたら全く動いてもいなかったのに、お腹がなり始めた。
お腹がすいているからイライラするのか、イライラしているからお腹がすくのかもはやよくわからない。
とにかくなにもすることがないから、時間が経つのもすごく遅く感じてしまう。
明日から、私も暇潰しになるようなものをなにか持ってこなくては、と考えていたら、始業の時と同じきれいな鐘の音が鳴り響いた。
時計を見るとちょうど十二時だ。

「みんなで学食行こうよ」

仲良くなるには食事を共にすることだ、となにがで読んだことがある。

「学食……?」

凪くんが怪訝な顔で聞き返す。
そうだ、ここは学校ではないから学食ではない。
学校食堂、略して学食。
会社の食堂、略して……。

「し……社食?」

「課長が社食行くなんて珍しいっすね」

「そう! たまには社食もいいかなーなんて。みんなで行こうよ」

「いいっすね!」

凪くんの言葉に私はわくわくする。
前にテレビで見たことがあるのだ。
こういう大きな会社には社員の人が大勢食べられるレストランみたいなところがあって、そこはとてもおいしくてしかも安いとだと。

「私も行きます」

バッグからお財布を取り出して亜樹ちゃんも元気よく言うと、ほっちゃんが、小さな声で「わ、私はいいです」と答えた。

「えー、どうして? みんなで行こうよ」

私がもう一度誘ってもほっちゃんは「……でも」とためらいながら、なかなか立とうとしない。

「お弁当持ってきてるとか?」

「いえ……そういうわけじゃ……」

「お財布を忘れたとか?」

「あ、お財布は……あります」

「よし! じゃあ行こう! これは課長命令よ!」

ほっちゃんはようやく「うう……」と言いながらもお財布を取り出して立ち上がった。

「行きましょ!」

強引にほっちゃんの肩を組んで、凪くんと亜樹ちゃんの後ろに続くと、エレベーターで最上階に向かった。


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