あなたが生きるわたしの明日
「重要な仕事ってなによ?」

倉庫に戻ると、亜樹ちゃんが腕組みをして凪くんにつめよった。

「べつに」

凪くんはひょうひょうと答える。

「なにかはわかんないけど、この俺が配属されてるんだし、きっとなんか重要な任務があるんだと思うよ」

「あんたなに言ってんの?」と亜樹ちゃんがあきれた声を出した。
これには私も同感。

「たぶんね、今なんかのプロジェクトが秘密裏に進行中なんだよ。だから、このメンバーが集められてるの」

「え、あんたまさか、それ本気で言ってるの?」

「本気でっていうか。だって俺、結構仕事できるヤツだと思うんだよね。それなのに、こんな暇な課に回されるなんて、絶対おかしいじゃん。なんかあるんでしょ、きっと」

亜樹ちゃんが小声で「この課に回された理由がわかったわ」と言った。
私は凪くんのこのポジティブさというか、自己肯定的な考え方、嫌いじゃない。
嫌いじゃないけど、この私でさえ、この人に重要な仕事を任せていいものか、不安に思う。

「さ、仕事仕事!」

凪くんはのびをしながらデスクに向かうと、漫画本に手を伸ばした。

パソコンを再起動させると、0件だったところが二件に増えている。

「あ、二件になってるよ」と私が言うと、亜樹ちゃんと凪くんが「やりまーす」と答えた。
ほっちゃんは「あ、やり……」までしか言えなかったのだ。

私は二人の様子をさりげなく確認する。
どういった仕事内容なのか、全くわからないのだから、よく見ておかなくちゃ。

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