あなたが生きるわたしの明日
お酒を飲んだ次の日は必ず二日酔いというものになるものだと思っていたのだけど、翌朝も私はなんともなかった。
陽子さんはお酒に強い人だということなのだろうか。
それともビールを五杯くらい飲んだだけだったら、こんなもんなのかな?
お父さんも家ではビールを一本くらいしか飲まなかったから、そのへんのところがよくわからない。

ベッドの中でぼんやりと天井のシーリングライトを見上げる。
陽子さんもきっと目覚めたらこの景色を毎朝見ていたのだろうか。

せっかくの土曜日だと言うのに、体が疲れていて、ベッドから起き上がれない。

お腹も空いてきたけど、買い物に行ってないから食べるものもないし、洗濯もしていないから汚れた洗濯物もたくさんある。
なるべく汚さないように生活しようと思っていたのに、部屋の中はだんだん散らかってきているし、あれもこれもしなくちゃ、と思うと泣きたくなってきた。

三十八歳の陽子さんがこれだけ疲れるんだ。
もっと年上の私のお母さんやお父さんはきつともっと疲れていたんじゃないだろうかとふと思う。

小さな頃は肩たたき券を作って、父の日とか母の日にプレゼントしたこともあったけど、大きくなってからはそんなことしようとも思わなかった。
それどころか、毎日お母さんがご飯を作ってくれることにも、学校の制服をアイロンしてくれることにも、ありがとうって言ったことがなかった。
お父さんが遅くに帰ってきても、「お疲れ様」と言ったこともなかった。

今、陽子さんになって一人で生活していると、毎日自分がどれほど親に甘えていたかわかる。
当たり前にあるご飯もアイロンのかかったシャツもきれいな部屋もすべてお母さんとお父さんが私のために用意してくれていたものなのだ。
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