あなたが生きるわたしの明日
そのやり取りを黙って聞いていたほっちゃんが「あの……課長」と小さな声でためらいがちに言った。

「一週間で終わらせるのはどうしてですか?」

「どうしてって?」

「いえ……一ヶ月後になにかあるのかと思って」

ほっちゃんの言葉にぎくりとする。
いつもぼーっとしているのに、こうしてなにもかもお見通しみたいな目をほっちゃんはたまにする。

「なにもない。ただ……」

「ただ?」

「変えたいの。この……課と自分を」

ほっちゃんはしばらく黙って私の目をじっと見た。
いつも伏し目がちなほっちゃんとこんなに目を合わせるのは始めてだ。
真っ黒な瞳がまばたきもせずに私を見つめる。

「わかりました。私も変えたいです。この課と自分を」

そう言うと、ほっちゃんは自分の担当の棚に向かう。

相変わらず、この倉庫は薄暗く埃臭いけれど、少しずつ空気が変わっていく気がした。
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