あなたが生きるわたしの明日
「便利か……」
いくらでもありそうなのに、いざ考えてみるとどれもすでに売られているものばかりだ。
ただ静かな時間が流れる。きっと、みんな頭の中でいろいろな文房具を思い浮かべているのだろう。
「あああぁ」
凪くんが頭を抱えてうめく。
いつの間には窓の外は夜の気配になっていた。
「うるさいなぁ、もう!」
亜樹ちゃんがいらいらとした声を出すと、ほっちゃんが「あの……これよかったら」とデスクの引き出しから小さな箱を取り出した。
「糖分を取ると頭の回転がよくなるっていいますから……」
ほっちゃんはそういいながら、みんなに小さな茶色い包みを配る。
「チョコレート!?」
「はい」とほっちゃんが微笑む。
「これ、新発売のやつだよね! ありがとう」
甘い香りが漂う。
ちょうど甘いものが食べたいと思っていたのだ。
「あれ……これ、どこから開くの?」
チョコレートを包んでいる紙の包装紙がしっかりととめられていて開けにくい。
早くチョコレートが食べたくてイライラしてしまう。
「……これ、ちょっと開けにくいですよね」
ほっちゃんが私のチョコレートを受け取ると、紙をめくってくれた。
お礼を言い、口に入れる。
甘さが口の中に広がって幸せな気持ちになった。
「おいしそうに食べますねぇ」
そういう亜樹ちゃんもさっきのイライラがどこかに飛んで行ってしまったようににこにことしている。
「でも、この紙、こんなにきっちり包まなくてもいいのにね」
空になったチョコレートの紙で小さな鶴を折りながら私は愚痴る。
「イライラしてる時って、こういうささいなことで余計にイライラしちゃうよね」
「わかります。忙しいときとかね」
凪くんの言葉にそうそう、と相槌を打ちながら、完成した折鶴をゴミ箱に向かってぽいと投げた。
鶴はゴミ箱に届かず、ちょうどそこに置いてあったラベルライターの上に落ちる。
「あ、ラベルライター、返すの忘れてた」
「明日朝イチで返しに行ってきますよ」
「これにはかなりお世話になったね」
みんなでくすくすと笑いあう。
いくらでもありそうなのに、いざ考えてみるとどれもすでに売られているものばかりだ。
ただ静かな時間が流れる。きっと、みんな頭の中でいろいろな文房具を思い浮かべているのだろう。
「あああぁ」
凪くんが頭を抱えてうめく。
いつの間には窓の外は夜の気配になっていた。
「うるさいなぁ、もう!」
亜樹ちゃんがいらいらとした声を出すと、ほっちゃんが「あの……これよかったら」とデスクの引き出しから小さな箱を取り出した。
「糖分を取ると頭の回転がよくなるっていいますから……」
ほっちゃんはそういいながら、みんなに小さな茶色い包みを配る。
「チョコレート!?」
「はい」とほっちゃんが微笑む。
「これ、新発売のやつだよね! ありがとう」
甘い香りが漂う。
ちょうど甘いものが食べたいと思っていたのだ。
「あれ……これ、どこから開くの?」
チョコレートを包んでいる紙の包装紙がしっかりととめられていて開けにくい。
早くチョコレートが食べたくてイライラしてしまう。
「……これ、ちょっと開けにくいですよね」
ほっちゃんが私のチョコレートを受け取ると、紙をめくってくれた。
お礼を言い、口に入れる。
甘さが口の中に広がって幸せな気持ちになった。
「おいしそうに食べますねぇ」
そういう亜樹ちゃんもさっきのイライラがどこかに飛んで行ってしまったようににこにことしている。
「でも、この紙、こんなにきっちり包まなくてもいいのにね」
空になったチョコレートの紙で小さな鶴を折りながら私は愚痴る。
「イライラしてる時って、こういうささいなことで余計にイライラしちゃうよね」
「わかります。忙しいときとかね」
凪くんの言葉にそうそう、と相槌を打ちながら、完成した折鶴をゴミ箱に向かってぽいと投げた。
鶴はゴミ箱に届かず、ちょうどそこに置いてあったラベルライターの上に落ちる。
「あ、ラベルライター、返すの忘れてた」
「明日朝イチで返しに行ってきますよ」
「これにはかなりお世話になったね」
みんなでくすくすと笑いあう。