あなたが生きるわたしの明日
「すみません、お待たせしました!」
会社のビルの一階でスマホを見ていると、森下さんが息を弾ませて走ってきた。
スマホをバッグにしまい、「よろしくお願いします」と頭を下げる。
「電話、出なくて大丈夫ですか?」
二人で歩き始めてしばらくすると、私のバッグに入れたスマホが鳴り始める。
「いいんです。よくかかってくる番号なんですけど、知らない番号なので」
私は言い、バッグからスマホを取り出すと着信音を最小にした。
この番号からの着信は毎日いつもだいたいこの時間にかかってくる。
毎日かかってくるということは陽子さんの知り合いなのかもしれないけど、それなら名前が登録されていないのがおかしい。
誰なのかわからないので、私は出ないと決めている。
午後六時半、仕事が終わったら教えてくれると約束した通り、森下さんは待ち合わせの時間に来てくれた。
「主任……腹減ってないですか?」
「主任?」
そう言えば初めて会った時もこの人は私のことをそう呼んだ。
「あ、すみません。なんか癖が抜けなくて……なんて呼んだらいいんだろう」
森下さんは髪の毛をさわりながら、気まずそうに謝った。
「ええと、今はみんなから課長って呼ばれてます。あ、みんなっていうのは書類整理課のほっちゃんとか凪くんとか亜樹ちゃんのことなんだけど」
「え?」
森下さんは心底驚いたという顔で私の顔を見る。
「課長でもいいし、松川さんでもなんでも、呼びやすい呼び方でいいですよ」
「じゃあ……松川さんで。なんか変な感じですけど」
陽子さんは他の呼び方でよぶと変な感じがするほど長い間主任だったのだろうか。そう言えば、主任と課長ってどっちがえらいんだろう。
「話し戻しますけど、腹減ってます?」
「ええ、すごく」
「じゃあ、軽く食事でもしながら話しませんか?」
森下さんの提案に私は「いいですね」と答えた。
さっきからお腹がぐぅぐぅと鳴っている。
会社のビルの一階でスマホを見ていると、森下さんが息を弾ませて走ってきた。
スマホをバッグにしまい、「よろしくお願いします」と頭を下げる。
「電話、出なくて大丈夫ですか?」
二人で歩き始めてしばらくすると、私のバッグに入れたスマホが鳴り始める。
「いいんです。よくかかってくる番号なんですけど、知らない番号なので」
私は言い、バッグからスマホを取り出すと着信音を最小にした。
この番号からの着信は毎日いつもだいたいこの時間にかかってくる。
毎日かかってくるということは陽子さんの知り合いなのかもしれないけど、それなら名前が登録されていないのがおかしい。
誰なのかわからないので、私は出ないと決めている。
午後六時半、仕事が終わったら教えてくれると約束した通り、森下さんは待ち合わせの時間に来てくれた。
「主任……腹減ってないですか?」
「主任?」
そう言えば初めて会った時もこの人は私のことをそう呼んだ。
「あ、すみません。なんか癖が抜けなくて……なんて呼んだらいいんだろう」
森下さんは髪の毛をさわりながら、気まずそうに謝った。
「ええと、今はみんなから課長って呼ばれてます。あ、みんなっていうのは書類整理課のほっちゃんとか凪くんとか亜樹ちゃんのことなんだけど」
「え?」
森下さんは心底驚いたという顔で私の顔を見る。
「課長でもいいし、松川さんでもなんでも、呼びやすい呼び方でいいですよ」
「じゃあ……松川さんで。なんか変な感じですけど」
陽子さんは他の呼び方でよぶと変な感じがするほど長い間主任だったのだろうか。そう言えば、主任と課長ってどっちがえらいんだろう。
「話し戻しますけど、腹減ってます?」
「ええ、すごく」
「じゃあ、軽く食事でもしながら話しませんか?」
森下さんの提案に私は「いいですね」と答えた。
さっきからお腹がぐぅぐぅと鳴っている。