消えねばならない魂
「ふわぁ。」

裕香は、入口のドアに背を向けていたので、ラッキーだった。

スー、ハー、と、深呼吸をして、音を立てないよう、慎重に近づいた。

そして、裕香の頭をがしりと掴んで、思い切り沈めた。

「うっ!わ!ぐわあっ!」

苦しそうにもがいている裕香。

大丈夫。
すぐに、楽になるから。

何も言わず、暴れず、静かになった所で身体を引き上げ、素早く乾かし、私の服を着せた。

錯覚させるのだ。
死んだのは、裕梨だと。
< 6 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop