6人目
掟破り
自衛隊の部隊長を押し退け、こちらに近付いてくるハンドポケットの男。

「んん?」

男…ディア・ボロスは興味深そうにハンドポケットの男を見た。

「黒いキャスケットにコートの男…その特徴的な出で立ちは聞いた事があるぞ。南条 狂史郎。古くから続く降霊師の家系の末裔だそうだな」

降霊術は、亡者の霊を呼び寄せようとする魔術の形態である。

英語ではネクロマンシー。

大抵は予言や占いの為の魔術とされる。

「で?占い師風情がこの俺に何の用だ?出る幕じゃあないぞ」

「…随分な言われようだな」

狂史郎はキャスケットを目深に被る。

「ディア・ボロス。テメェみたいな質の悪いのが出てきたから、わざわざ足を運んできてやったっていうのに」

「わざわざ足を運んできた?何の為にだ?俺の運勢でも占ってくれるのか?」

ディアは狂史郎を嘲笑った。

< 31 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop