6人目
「そうかい」

拳を握り締める狂史郎。

その拳を。

「オラァッ!」

突き出す!

間合いは遠く離れている。

ディアに届こう筈もない右拳。

しかしその拳は。

「ぬう!」

風を巻き、唸りを上げてディアの頬の肉を削ぎ落としていった。

まるで遠当て。

見えない大きな力が、ディアの強靱な肉体にダメージを与えていったのだ。

「ふぅ…制御できねぇんでな、気を付けな。俺の思惑以上にやり過ぎて、誤ってぶっ殺しかねねぇからな」

狂史郎が言う。

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