6人目
地下・胎内洞。

館の最深部。

生物の体内のような肉の洞窟。

次々と産み出される羊膜に包まれた化け物の幼生が俺を襲う。

奥に待ち構えていたのは館の心臓部。

魔物達を生み出す根源。

館に寄生する巨大な心臓で、ゆっくりと脈動しながら際限なく幼生を生み出していた。

俺によって心臓が破壊された為、館は崩壊する。

脱出する俺の前に、無面に宿る仮面の精が地中に眠っていた怪物に宿った巨人が行く手を阻んだ。

頭部と両腕のみが地上に露出しており、土砂を舞い上げたり巨大な腕で掴みかかってくる。

それすらも屠り、館を脱出する頃、夜明けが訪れていた。

興味本位で館に近付き、襲われ、無面に利用された結果。

それが恋人の死、そして人間のままでありながら、理を捻じ曲げて理不尽な現実を引き起こす『掟破り』の能力の獲得だった。

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