浮気性彼氏さま。
「………」
髪は変じゃない?
服装はバッチリ?
伊織くんに挨拶する前に簡単に身だしなみを整える。
よし、おっけ!
そんなことをしている間に伊織くんのと距離約3m。
「伊織く………っ!!?」
グイッ
笑顔で伊織くんの名前を呼ぼうとした時だった。
前からきた伊織くんに強引に右腕を引かれて歩き出したのは。
え、え、何、この状況。
「いっ、伊織くん!!?」
かなり強い力で腕を掴まれ、表情を歪めながらも伊織くんの名前を呼ぶ。
今は腕を引っ張られながら歩いている状態なので伊織くんの顔が全く見えない。
だけど一瞬だけ見えた冷たい表情が。
今、背中で語られている冷たい感情が。
大好きな伊織くんなのに怖いと感じてしまう。