浮気性彼氏さま。










「それ、誰の体操服な訳」






「え…」








冷めきった伊織くんの瞳が京治の体操服を睨みつける。








「こ、これは、け、京治のやつで……」





「京治って誰なの?あの最近よく一緒にいるヤツ?」







私が恐る恐る答えれば余裕のない伊織くんが冷たい態度で迫ってくる。






怒ってる。




あの伊織くんが怒っている。







「アイツ、花奈に触れすぎなんだよ」






ガリッ






「痛っ」






治りかけていた左の中指の切り傷に伊織くんが噛みつき、私は痛みに表情を歪めた。






たらりと左中指から流れる血。







そこから毒が流れ込むように心臓が加速する。

















< 29 / 86 >

この作品をシェア

pagetop