浮気性彼氏さま。











「伊織くん!!」







扉を開けてすぐ目に入ってきた人物の名前を呼ぶ。





窓から差す日の光を浴びながらどこかを見つめる伊織くんは儚げで今にも壊れそうなほど美しい。




その姿はまるで天使のようだ。







「花奈……」






伊織くんが私の名前を呼ぶ。






あれ。






名前を呼ばれただけなのに。



見つめられただけなのに。






その違和感が私を襲う。






いつもなら優しく余裕のある可愛い笑みを浮かべているはずなのに。




今日は酷く落ち着いてただただ冷たい。








「い、伊織くん?どーしたの?」







声が上ずる。



いつもとは違うことに緊張している自分がいる。















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