浮気性彼氏さま。
「京治、わた……「ちょっと」
ガシッ
京治に答えようとしたその時、何者かによってそれは遮られ、ついでに右腕を掴まれた。
この声は……
「い、伊織く、ん?」
いきなり予想外の人物が登場し、目を見開く。
な、何で、ここに伊織くんが?
久しぶりに近くで聞いた甘い声が、触れられた右腕が、また私の心臓をうるさくする。
そしてじわりと涙が溢れた。
い、伊織くんだ。
「花奈が好きなのは僕でしょ、何で他の男といる訳?」
あの時と一緒。
酷く冷たい表情で。
伊織くんがこちらを見る。