浮気性彼氏さま。
side伊織
僕の目の前で嬉しそうに泣きじゃくる女の子。
もう、この子だけは離さないと決めたんだ。
「私も伊織くんが大好きだよっ」
ドクンッ
その言葉を聞くだけで。
僕の心臓がこんなにも高鳴っていることを君は知らないのだろう。
「僕もだよ、花奈」
初めは僕のことを熱烈に好きな女としての認識しかなかった。
どうせすぐに僕から離れていくだろうと思っていた。
でも君は離れずにそんな僕でも好きだとずっと笑顔でそばにいてくれたんだ。
いつから花奈をこんなに好きになってしまったのだろう。
いつから月曜日が、金曜日が、楽しみになっていたのだろう。
君は少しずつ僕の〝特別〟になっていた。
そしてそれを思い知った時、怖くなった。
君に本気になることが。