浮気性彼氏さま。
「この卵焼きがどんなに美味しくても何かと比べなければその良さはわからない。ね?」
大きな瞳が優しく私を捉える。
何て整った顔立ちなのでしょう。
つまり伊織くんが言いたいことは、
『他を知らなければ本当にいいものの良さがわからない』と。
「た、確かに、そ、そーだよね……」
伊織くんの全てにやられながらも何とか返答する。
私の不機嫌を察知してすぐに対応してくれたのだろう。
さすが伊織くん。
慣れているし、強い。
………けど、その弁当作ったのお母さんだから比べているのお母さんとヨーコ先輩になっちゃうけどね。