S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。


「俺が明里に会えて嬉しいってわからない?」



逆にその真顔を向けられても伝わらないってわからない……?


これも椿らしいっちゃらしいけどさ。


嬉しいのに喜べないような……。



「椿様。大変申し上げにくいのですが、まもなく出発しなければ遅刻してしまいます」



と、子供の頃からの運転手兼、椿の側近である黒崎(くろさき)さんが割って入る。



相変わらず黒崎さんは年齢不詳だ……。



「黒崎。もう少し待てない?」


「かしこまりました。ですが、あと2分程で出発させて頂きます」


「黒崎には今俺がどんな顔してるように見える?明里に教えてあげてよ」


「はい。明里様に会えた椿様は大変お喜びになられているかと」



あの、見えてますか?


この三年の間に黒崎さんは運転手なのに視力が0.000001になったのかな……?

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