S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
────4月の桜も半分散りゆく朝。
大きなボタンに胸元のリボン。
肩がふんわりした特徴的な制服に着替えて家を出る。
春風に揺れる癖のある長い髪を抑え、ふと隣に立つお城のような家に目をやった。
ああ、今日も存在感が半端ない……。
西洋風の高い門を見上げる度に私、榎並 明里(えなみ あかり)は腰が抜けそうになるのだ。
近所にある小学校よりも大きいんじゃないかと思う……。(校庭を含む)
中世の英国だかなんだかをイメージして設計されたらしいこの家。
玄関までは軽いウォーキングをしなければ辿りつけない程だ……。
子供の頃はよくここで遊んでいたなぁ。
なぜかというと、このお城には私の幼なじみが住んでいるからだ。