S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
* * *
そんな憂鬱を背負ったままホールへと移動すると、既に全校生徒が集まっていた。
あちこちにスタンド花が飾られており、大変華やかなホール内は賑わっている。
ざわざわと騒がしい中、私と火神さんは自分達のクラスの列へとそそくさと紛れた。
やばい……。
まだ、なにも始まっていないのに手汗までかいちゃうくらい変に緊張してきた……。
「その手汗俺につけんなよ?」
戸澤くんが隣に並んでいたことにも今気づいたくらいだ……。
うん、とりあえず、落ち着こう……。
その時、ツンツンと軽く肩を押された。
パッと振り返れば、同じクラスのお嬢様が腕を組んで立っている。
ゲッ……。
確か、この人は前に、中庭のテラスで椿と話している時、フォアグラランチをされていたお嬢様だ……。
なんか、嫌な予感がするのですが。