S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
し、しまった……。
「なにしてんの?」
恐る恐る声のする方へと顔を向ける。
窓から顔を出す見惚れるくらい綺麗な栗色の髪がふわりと揺れる。
車内からこちらへ向けられたその人物の顔を見たら、私の心臓はドキンッと揺れた。
「つ、椿……っ」
こうして近くで顔を合わせるのは三年ぶり。
やばい緊張してきた……。
これ以上鼻息が荒くならないように意識を集中させる。
「さっき俺ん家見てたろ?」
「えっ!?」
バレてる……?
もしやあの胸筋マッチョが豆腐屋の不審者を発見とでも言ったんだろうか……。
「着替えてたら部屋から明里が見えた」
「そ、そっか……」
胸筋マッチョよ、疑ってごめん。
「で?なんで明里、俺と同じ学校の制服着てるわけ?」
椿は白いブレザーを着ているのが見える。
うっ……。
見事に痛いとこをつかれてしまった。