S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。


昨日の入学式ではどういうわけか椿には会わなかったから、まだバレる心配はないと油断していたのがマズかった。



「聞いてる?」



印象強いくっきりとした二重瞼。


フェイスラインも鼻の形ひとつでさえも整っている椿の顔は、変わらずに極上だ。


真っ直ぐ私を見つめる微かに灰色がかった瞳は、ロシア人のハーフであるお母様譲り。


たった数回しかお目にかかったことはないけど、絶世の美女だ。


ロシア人のクォーター、1/4である椿の栗色の髪も生まれ持ったものだ。


羨ましい……。


私に対する口調は別として……お城の王子にふさわしい容姿は久しぶりに見ても華やかで。



うん、やっぱりカッコいい。


って、違うそうじゃない……。



「もしかして、俺に会いたくなった?」


「なっ……!」



ひとり心の中で三年ぶりの椿への感想を述べていたら、意地悪な言い方をされハッとした。

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