夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

何度も何度も、私を驚かせて…。
何度も何度も、暖かい気持ちをくれた。

不思議と、人を惹きつける魅力。
出逢った時の苛つきは…。私が彼の中にある、その美しい心を真っ直ぐ見つめる勇気がなかったから…。


「名前、決めました!
この子の名前は、ヴァロン。」

私の手からそっと受け取って、愛おしそうに我が子を抱きながら彼が言った。

「良い名前でしょう?
僕が今書いてる小説の主人公の名前です!
お前が大きくなるまでには、必ず作家として立派になるからな?
お前がたくさん活躍する話を書くから、楽しみにしてて?…な?ヴァロン!」

生きてきた人生の中で、最高の日だった。

この日私は初めて、心の底から微笑った。


幸せな未来が続くと、信じていた。

どんな事が起こっても、また彼は私を驚かせてくれる。
訳が分からない人だけど…。

不思議な魔法の呪文で、
きっと私を幸せにしてくれると、思っていた。

……
………。
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