夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
【宿泊部屋】

「っ…本当に悪かったッ///。」

部屋に戻って早々。
俺はアカリを自分の腕から降ろして深く頭を下げる。

変装や警戒を怠り、色々とミスった。
おまけに…。アカリを危険な目に晒しかねなかった上に、あの場をやり過ごす為とはいえあんな演技に付き合わせてしまった。

俺は今更どんな風に雑誌や記事に書かれても構わないが、アカリを巻き込んでしまった自分が許せない。


「っ…謝らないで？ヴァロンは、悪くない…。
ヴァロンは私の浴衣デートしたい、って要望に応えてくれただけでしょ？
…だから、っ…ごめんなさい。」

今まで大切に守ってきたものを、軽率な行動のせいで失いたくない。
そんな思いでいっぱいの俺の耳に届くアカリの声。

ゆっくりと下げていた顔を上げると、俺が被せた上着で顔を隠すようにして、アカリは不安そうな表情をしていた。

せっかくの夫婦旅行。
不安にさせたり、悲しませたり…。
こんな表情ばかり、させたい訳じゃないのに…。
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