夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
いくら今が冬だとはいえ、ヴァロンもたくさん汗をかいていたし…。脱水症状になっては大変だと思い、私は飲みかけの水のボトルを持ったまま、彼の眠る和室に戻った。
……。
よく寝てる。…疲れてるんだよね?
私が布団から抜け出した時の状態のまま、ヴァロンは静かな寝息を立てて熟睡していた。
起こさないように静かに歩み寄り、そっと枕元に腰を降ろして寝顔を見つめる。
今日改めて実感した。
ヴァロンは本当に有名人なんだな、って…。
今まで一緒に出掛ける時。いつもヴァロンは変装してくれたり、人気を避けて細心の注意を払ってくれていた。
私を、守ってくれていた。
今日まで危ない事や、不安に怯えず暮らせていたのは全てヴァロンのお陰だったのだ。
いつもいつも、きっと気を張っていて…。私が喜ぶ買い物やデートの時も、彼は神経を擦り減らしながら自分に合わせてくれていたのだと…気付く。