夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
ヴァロン。
私が初めて彼の存在を知ったのは、13歳の時。
父に付いて、ある人物パーティーに招待された時だったわ。
会場には色んな会社からたくさんの人が集まっていて、盛大に盛り上がる中。いくら同世代の子供より大人びていると言われても、当時の私にはやっぱり退屈で…。
こっそりと会場を抜け出して、外のロビーで少し休もうとしたの。
その時、ロビーの片隅にある長椅子に居たのは一人の男性。
黒に近い灰色の髪と瞳の男性は、会場に集まっていた人達よりも私の目にはとても若々しく見えた。
この時は知らなかったけれど、後にその男性はアラン様のお父上様であるリオン様だと知った。
リオン様はソファーに座りながら、ある雑誌を真剣に眺めていて…。
私は何故だか、その彼の横顔に興味が湧いた。
歩み寄って声を掛けると、初対面の私にもとても優しく穏やかな口調で接してくれたリオン様。