夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
【高級旅館/宿泊部屋】

「……。」

和室に敷かれた布団の中で、私は眠れぬ夜を過ごしていた。
冬の冷たい布団の中なのに、さっきから胸がドキドキして身体が熱い。

原因は分かっている。
眠れないのも動悸が治まらないのも、あの男のせい。
夢の配達人のヴァロン。


「っ…なんなのよ、あの男ッ///。」

リオン様に話を聞いて以来、ヴァロンの事を徹底的に調べてきた。
新聞や雑誌を見て、大体どんな人物なのかは分かっていた。

人格の印象は人それぞれで当てにならなかったけど、仕事の実績はどれも高評価。
変装が得意で、写真はまともに顔を撮らせないから本当の姿を知るのは困難だったわ。


そして…。
さっき、初めて実物を見た。

白金のオーラを纏ったような、色素の薄い栗毛色の髪と瞳。長身で美しい、圧倒的な存在感に思わず息を飲んだ。
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