夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「……。
話って、なんだ?」
だが、和んでいる場合ではない。
なるべく早目に用件を聞いてこの場を去ろうと顔を逸らして話を切り出すと、ミネアは更に俺を驚かせる発言をする。
「そんなに邪険にする事ないじゃない。
せっかく貴方の事、見直したのにな〜。」
「…どういう意味だ?」
「……。
昨日、貴方が一緒に居た女性。
あの人、遊び相手じゃなくて…奥様、よね?」
「……。」
問い掛けに答えず、無言のまま横目で隣を見ると…。ミネアは微笑みながら、俺の左手を指差していた。
俺の左手薬指に光る、結婚指輪。
ミネアに会ってしまうかも、という可能性が頭にありながら…。この旅行中、絶対に外したくなかったアカリとの夫婦の証。
……いや。
本当は、仕事中だっていつも外したくなかった。
夢の配達人として、そして家族や大切な人の為だと言い聞かせながら…。
本当は、自分の気持ちに正直にいたかった。