夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「///……。
よその女の旦那に優しくされても、嬉しくないわよっ。」
するとミネアは長椅子から立ち上がり、俺に背を向けながら強い口調でそう言い放つ。
その俺側からは見えない彼女の表情が、真っ赤になっている事に…。俺は気付いていなかった。
「…それは悪かったな。じゃ、行くわ。」
チラッとイベント会場の方に視線を向けると、ちょうど作業が終わったらしいアカリが出入り口から出てきて、キョロキョロと俺を捜しているのが見える。
自然と笑顔になって、俺はサングラスをちゃんと掛け直すと、長椅子から立ち上がりアカリの元へ一目散に駆け出した。
……。
「……残念。
奥様より早く、貴方に出逢いたかったわ。ヴァロン。」
俺がアカリに駆け寄る姿を見て、遠くでミネアが苦笑いを浮かべていた事も…。俺は知らない。
……
………。