夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

「私は、幸せだよ?ヴァロン。
…だから、全部一人で抱え込まないでね。」

私は傍に置いてあった上着をヴァロンに掛けると、席に着いて窓の外を見つめた。


あの時に会ったクマさんに、何故もっと色々な事を聞けなかったのだろう。と、今すごく後悔している。
着ぐるみを着ていたから、容姿は全く分からないが…。おそらく声だけで判断するなら、落ち着いた大人の男性。

もう一度会いたい。
そして、クマさんが知っているヴァロンの過去の全てを教えてほしい。


……じゃないと。
私には本当の意味でヴァロンを守ってあげる事が出来ないのではないか、と思った。

ヴァロン自身が自ら封じている辛い過去。
何も知らないままじゃ、もし彼が思い出してしまった時に支えてあげられないかも知れない。

……。

クマさんに会いたい。
もし、その願いがもう少し早く叶っていたら…。
私達の運命は、変わっていたのだろうか…?

……
………。
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