夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

「…ホント、可愛くてさ。
痛い思いしない様に、泣かない様に…。出来る事なら、ヒナが歩く道の小さい石でさえ取り除いてやりたい、って思うよ。」

こんな時なのに…。
自分が一番辛い状況なのに…。
穏やかな口調で、優しい雰囲気で、周りの幸せを祈るの。


「……だから、俺で良かった。
アカリやヒナが病気になったら、俺は絶対に平気じゃいられない。
その方が辛くて、耐えられない。」

「っ……。」

その、美しい心をそのまま表したような言葉に”なぜ、この人なの?”と、思わずにはいられない私に…。ヴァロンさんの声が響く。


「大切な人達が苦しむくらいなら、俺はこの身にその災いを受け止める方を…選ぶよ。
……て。こんな話聞いたら、アカリもシュウも怒りそうだな。」

「今言った事は秘密な?」って、ヴァロンさんは少し照れたように微笑んで…。
それから、資料をもう一度手に取って見つめながら言った。
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