夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「じゃ、そろそろ行くわ。」
「はい。いってらっしゃい、ヴァロン。」
いつも通りに、シュウに見送られて部屋を後にしようとした俺。
ドアノブに手を掛けて、口を開く。
「……シュウ。
帰ってきたら、話があるんだ。時間作ってくれるか?」
顔だけ振り返って見ると、シュウは少し驚いた表情をして…。すぐに微笑んだ。
「奇遇ですね。
実は…。私もヴァロンに、話したい事があったんです。」
そのシュウの言葉が意味深に聞こえて、”何だ?”と聞き返そうと喉まで出かかった言葉を、俺は飲み込んで…。頷いた。
「……じゃ。また、な。」
「気を付けて。」と言うシュウに送り出されて、俺は部屋を後にした。
……。
この時に話せていたら、何かが変わっていたんだろうか?
互いを想い合い、気遣った心が…。
俺達の、みんなの気持ちをバラバラにする。
……
………。