夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
……
………。
「!…ヴァロン、様?」
「!……。」
シュウの部屋を出て、隠れ家の広場を歩いている俺をある人物が呼び止めた。
聴き覚えがあるようなその声に、思わず足を止めて振り返ると…。そこに居たのは背の高い、黒い長髪と黒い瞳の風貌。
若く見えるが、落ち着いた雰囲気や声の低さから、おそらく俺よりも年上。
「ヴァロン様、ですね?
お初にお目にかかります。私の名はディアス。
夢の配達人、金バッジのディアスと申します。」
じっと見つめていた俺にディアスはゆっくり歩み寄ってくると、頭を下げて丁寧に自己紹介をした。
顔を上げると、穏やかな優しい表情。
危険度は全くないが、俺にはディアスが言った”お初にお目にかかります。”と言う自己紹介に違和感を覚えて、眉間にシワを寄せた。