夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「……。
初めて、じゃねぇよな?」
会った事が、ある。
そう思った俺が発した質問に、ディアスはとても驚いた表情をした。
金バッジのディアス。
その仕事ぶりの評価や噂は何度も耳にしてるし、ジジイも奴の実力を認めている。
今現在、金バッジ内では1番の有力者。つまり、次の白金バッジの候補に1番近い人物に違いなかった。
夢の配達人として入ったのはまだここ数年位だが、確か年は俺よりひと回り位上の筈。
ほとんどの配達人は十代や二十代の若い頃からこの道を選ぶのに対し、四十代近くからこの世界に入ってきたディアス。
そんな奴は、不思議とか変わってると噂されていたが…。
これまでこの隠れ家で顔を合わせた事は一度もなかった。
……そう。
”隠れ家”では、確かに顔を合わせた事はない。
ならば、何処で…?
穏やかな、優しい、丁寧な口調。
記憶を探る俺の頭によぎったのは、去年のクリスマスイブの時の事。