夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「!……そうだ、アンケート。
お前、あん時に割引券くれたクマだろ?」
アカリとやった商店街のアンケート。
それを配っていたクマの着ぐるみを着ていた人物の声に、よく似ていた。
謎が解けたら俺の警戒も一気に解けて表情を緩ませると、驚いた表情をしていたディアスも微笑んだ。
「ご名答。声だけで分かってしまうとは…。さすがですね、ヴァロン様。」
「”様”とか付けなくて、ヴァロンでいいぜ?
あんたの方が年上なんだし、敬語もいい。」
ディアスの親しみやすい人柄に、俺は本心からそう思って言った。
普段はあまり他人に気を許さないが、そんな俺でも”こいつは大丈夫”だと思う位、ディアスからは良い人オーラが出ている。
「いえ、そういう訳には参りません。
…貴方様は、大切な人ですから。」
「?……俺、お前になんかしたっけ?」
ディアスの丁寧な断りと、”大切な人”という言葉に俺は首を傾げて見つめた。