夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
アンケートの時より前に、会った事があるのか?
それとも、夢の配達人になったキッカケが俺とか…。元々、ファンだったとか?
色々な予想が浮かぶが、分からない。
……。
でも、なんか不思議な気持ちになった。
ディアスの黒髪と黒い瞳が、眩しくて、俺の瞳の奥を貫く。
それは、幼い頃に憧れた色。
俺がどんなに望んでも手に入らない、特別な色だったから…。
「……今から、お仕事ですか?」
「!っ…あ、ああ。
わりっ、もう行かなきゃ…。」
いつの間にか、見惚れていた。
ボーッとしていた俺に届いたディアスの問い掛けにハッとして、腕時計の時間を確認すると、予定の電車の時間が迫っていた。
「…じゃあ、な。」
少し名残惜しさを感じながら足を踏み出すと、「ヴァロン様!」と名前を呼ばれて、俺はディアスの方を振り返った。