夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「……今度、ゆっくりお話したい事がございます。お時間を頂けますか?」
「……。」
俺を見つめる、さっきとは少し違うディアスの切ない瞳を見た瞬間に…。再度確信する。
会った事がある、と…。
商店街のアンケートの以前、それよりもずっとずっと前に…。俺はあの瞳を、見上げた。
……”見上げた”?
ディアスの身長は俺と同じ位。
そのディアスを、俺が見上げた…って、事は……。
……。
「私は配達人の寮に住んでおります。
ヴァロン様のお時間がある時に…。いつでも、お待ちしています。」
ディアスは俺に寮の場所と部屋番号が書かれたメモを手渡すと、一礼して去って行った。
……。
みんな、伝えたい事があった。
話したい事が、あった。
けど、幸せな今を壊さないように必死だった。
優しさが、後悔に変わる事もある。
一期一会の大切なタイミングを逃してしまった事。
気付くのは、数日後…。
……
………。