夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
【2月14日/港街】

いつもと変わらない朝だった。
まだ冬だけど、この日は天気も良くて、少し暖かくて気持ち良かった。

今日はヴァロンが数日前から行っている任務から帰って来る日。
そして、女性が大好きな人にお菓子を贈る日。
去年はヴァロンが長期任務で渡せなかったから、今年は気合を入れて用意しようと前から決めていた。

ハート型のチョコレートケーキ。
ヴァロンが私の召し使いの任務だった頃に渡して、褒めてくれた想い出の品。
それをもう少し豪華にして、普段の感謝の気持ちを伝えようと思い、私は午前中から買い物に出ていた。


「……よし。
これで材料の買い忘れはないよね?」

荷物を確認して微笑むと、抱っこ紐で固定して前に抱いているヒナタも嬉しそうに微笑った。

普段の買い物はレナやレイが付き合ってくれる時にまとめて買うんだけど、今日のお菓子の材料だけはどうしても自分で色々選んで買いに行きたくて、ヒナタと二人だけで初の買い物。
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