夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
っ…大丈夫。
大丈夫、まだ…生きてるッ…!
必死に気持ちを落ち着かせるように自分に言い聞かせて、私は病院に連れて行こうと準備をする為にその場を立ち上がった。
すると…。
「!……っ?」
鍵や財布の入った鞄を取りに行く為、方向転換した瞬間。
私の腕を、ガシッ!っと大きな手が遮る様に握った。
……。
ドクンッ…!
と、心臓が嫌な音を立てる。
私には掴まれた瞬間に、分かる。
違う、ヴァロンの手じゃ…ない。
自分の真横に感じる、人の気配。
恐る恐る、顔をゆっくりと上げると…。
そこには、長身で黒に近い灰色の髪と瞳をした男性。
私を見降ろして、口角を上げて笑ってる。
「っ……だ、誰…ッ?」
誰?
いつから居たの?
どうして?
恐怖と困惑が入り混じって、私の身体はガタガタと震え始めた。
そんな私を嘲笑う様に、男性はククッと笑う。