夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

「ッ…やっ、…嫌ッ…!
放してっ…はな……ッ、むぐっ…!」

咄嗟に暴れて騒ごうとした私の口をアラン様の大きな手が覆い、耳元で囁くように言われる。


「…大人しくしていろ。
お前が大人しくすれば、ガキの命は助けてやる。」

「!っ……?」

その言葉に”まさか…。”と、私が騒ぐのを止めると…。アラン様は私の口から手を離して、指をパチンッと鳴らす。

すると、どこに隠れていたのか黒いスーツを着た男達が現れ、拳銃を胸ポケットから取り出して…。
ヒナタの眠るベビーベッドがある部屋の方に、視線を向けていた。

……。
血の気が、一瞬で引いて…。
身体が冷たくなっていく。


目の前が真っ白になるような感覚の、私の頭に浮かぶのは…。
いつも幸せそうに、ヒナタをあやしているヴァロンの笑顔だった。
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