夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

「ッ…ゃ、…や…め……て……。」

無気力状態の私の口から漏れた、声。


ヒナタに何かあったら、ヴァロンは…。
あの笑顔は、もう永遠に失われてしまう。

宝物。大切な宝物。
ヴァロンとヒナタの笑顔は、私の宝物なの。


涙が、頬をすぅ…っと流れたと同時に、私はすがり付く様にアラン様の服を握り締めて訴えていた。


「っ…お願い…します……ッ。
大人しくしますっ…だから、ッ…あの子には触らないで下さいっ…!」

「お願いします。」と泣きながら繰り返す私を見てアラン様は満足気に笑うと、黒スーツの男達に拳銃をしまうように指示をだす。


「いいだろう。
ヴァロンを誘き出すには、お前がいれば充分だからな。」

「!……。」

アラン様の言葉に安心すると同時に、私は「え?」と自分の耳を疑った。
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