夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
”ヴァロンを誘き出すには、お前がいれは充分だからな。”…。
ヴァロンを、誘き出す?
どういう、事?
この時に、まだヴァロンとアラン様の関係を知らなかった私にとっては疑問でしかなかった。
私はアラン様が、一方的に婚約を破棄した件を未だに面白くないと思い、この計画を企てたのだと…思っていた。
まさか、ヴァロンの過去とアラン様に繋がりがあり。
アラン様の過去とヴァロンに繋がりがなるなんて、知らなかった。
そして、二人の背景に隠された…。互いのご両親の悲劇の恋の物語りが、全ての始まりだった事も…。
「よし、この女を連れて帰るぞ。」
呆然としている私を連れて、アラン様は黒スーツの男達と共にこの場を後にしようと玄関に続く廊下に向かった。
その時、先行して歩いていた黒スーツの一人が「アラン様。」と声をかけ歩む足を止めさせる。