夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
そして、アラン様と私を残して少し前に進んで行く黒スーツの男が、玄関の方を見ながら口を開いた。
「…おい、何だ?お前は。」
「っ…貴方達こそ、誰ですかっ?!」
黒スーツの男の問い掛けに質問を返すその声に、私がハッとして俯いていた顔を上げると…。
「!…アカリ、さんっ?
これは、一体…っ……。」
私と目が合って、とても驚いた表情でそう言うのは…ユイちゃん。
何で、ここに…?
心の中で呟いて私が見つめる、そのユイちゃんの手には可愛い小さな紙袋。
きっと今日の為に作ったお菓子を、ヴァロンに届けに来てくれたのだろう。
まさか、こんな時に来てしまうなんてっ…。
そう思った私の頭上から、アラン様のククッと言う笑い声が聞こえた。
「……目撃者は邪魔だ。始末しろ。」
「!っ……や、やめてッ…!」
ゾクッとする響きの命令に、私は必死で叫んでいた。
……
………。