夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
アカリさんを助けたい一心で闘った。
初めての緊迫した空気の中での実戦に、感情が高ぶって稽古や練習試合よりも乱れる呼吸を私が整えていると…。
「…これは見事だ。
まさか、こんな小さなお嬢さんがうちの連中を倒してしまうとはね…。」
アランが、拍手をしながら言った。
その口調は味方が倒されたこの状況下でも慌てる様子もなく、私が視線を向けると余裕たっぷりの表情で笑っていた。
「っ…アカリさんを放して下さいッ。」
私はさっき黒スーツから奪った拳銃を、アランに向かって構える。
すると…。アランはククッ笑いながら自分のネクタイを解き、アカリさんの両手を背後で固定するとその場に尻餅を着かせ、私の方に一歩歩み寄る。
グッと拳銃を握る手に力を込める私。
様々な武闘は経験したけど、拳銃の扱い方はよく分からないし…。正直、自分に人を殺す覚悟まであるのかは、分からなかった。