夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
けど、動揺している姿を見せたら負けだと思い、私は目を逸らさない様に真っ直ぐ前を向く。
でも、アランはそんな私の心境が分かっているかのように嘲笑って口を開いた。
「…無理だね、君には撃てないよ。
撃つ気があるなら、さっさと腕でも脚でも撃って私の自由を奪えばいい。」
「っ……。」
ドキッと跳ねる鼓動。
アランの言葉に、私は人を殺す以前に…。この拳銃を撃つ覚悟さえまだ出来ていないのだと、悟る。
……それでも。
今ここで決して退いてはいけない。という気持ちが強くて、持つ手に汗が滲むが拳銃を降ろす事は出来ない。
そんな私を見て、アランは「やれやれ。」と溜め息を吐くと言葉を続けた。
「君達の大好きなヴァロンは、この状況なら拳銃を奪った時点で…私を撃ってるだろうな。」
「!っ……ヴァロンさんが?」
思い掛け無い言葉に、私の心が揺れる。