夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

ヴァロンさんは夢の配達人。
夢の配達人は、絶対に人を殺めたりしないと聞いていた。刃物や拳銃は、まず人間相手に使ったりしないと…。

何より私の知るヴァロンさんは、絶対に人を痛め付ける事なんてしない。
例えどんな状況下にあってもそんな事をしない。
勝手かも知れないが、理想かも知れないが、私はそう思っていたから…。


そんな私の心に、アランは更に揺さぶりをかける様に言った。


「ヴァロンにとったら、今更人1人殺してもどうって事ないさ。
…アイツはすでに、人殺し。だからな。」

「!……え?」

「…殺してるんだよ、子供の頃に。」

「っ…う、嘘。そんなの嘘よッ…!」

私を動揺させようとする作戦だと思った。
その手には乗らないとキッと見つめると、さっきまで笑っていたアランから笑みが消えていて…。
私を見つめるその瞳は、一見冷めているのに、奥深くには怒りが込もった様な…眼光。
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