夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「…アイツが忘れても、私は忘れはしない。
アイツがいなければ、誰も傷付かずに…死なずにすんだんだッ…。」
最初見た時とは、まるで別人の様にそう言い放つアランを見て…。スッと私の心は真っ白になる。
この人は、嘘を吐いていない。
勿論、ヴァロンさんが人を殺めたなんて思えない。
でも、今自分の目の前にいるアランは偽りではないと…。感じてしまった。
「っ……。」
何故…?
何故、この人の言葉を偽りだと言い切れないのっ…?
拳銃を持つ手から少し力が抜けて、私を真っ直ぐ見つめるアランの瞳をこれ以上見ていられなくて…。
フッと、思わず目を逸らした瞬間。
「…甘いな。」
「!ッ…きゃあ……っ!!」
しまった!と、ハッとした時には遅くて…。
一瞬の隙を突いたアランに私は拳銃を持つ手を取られると、その手を背中に回されて押さえ付けられていた。