夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

その証拠に、現場に向かうまで私が考えていたのは、アカリさんとヒナタちゃんの安否。
管理人や警備員、あの建物に住む他の人の事なんて、頭になかった。

……。

ずっと、両親を助けてくれなかった人達が嫌いだった。
だから…。私は調査員になった時に、困っている人には”平等”でいようと思った。

誰にでも、分け隔てなく接しようとしていた。

……。
でも、私も同じだった。

窮地になったら、人は誰だってみんなを”平等”なんかには想えない。
自分と、自分の大切な人を守る事で手一杯なのだ…。


”離れなくていい”…。

出会った時に、たった一言ヴァロン様が言ってくれたあの言葉が、改めて重く感じる。

憎しみや悲しみに惑わされず。
目の前の、自分の幸せに気付きなさい。

あの日レイと引き離されていたら、私は何一つ大切な事には気付けない人間になっていた。

……
………。
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