夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
”離れなくていい”…。
あんなに優しくて、切ない響きの声を、ボクはあの時初めて聴いた。
誰かのたった一言が、こんなにも胸を打つ事があるんだと、知った。
幼いボクと姉さんの手を握って、その言葉をかけてくれた人は…。とても美しかった。
綺麗過ぎるその瞳は、まるでボク等の今の心を映しているように儚げな光を灯していて、子供よりも澄んでいるように見えた。
ヴァロン様。
自分の両親以外の大人が、全て”敵”に見えていたボク等にとって、その人は特別な存在。
人の暖かさ、言葉の重さ…。
何より、信じる事の大切さを教えてくれた。
人を憎む虚しさや愚かさを解かして、明るい笑顔と未来をくれたヴァロン様を助けたくて…。
ボク等は調査員になる事を決めたんだ。
……
………。