夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

あの頃より大人になって、自分にはきっと何か出来る事があるんだと思ってた。
調査員になって、色んな人に感謝されて、人を守れる立場になったんだって…。


でも、それは…ただの自惚れ。

平和だったのは、ボクの頑張りじゃない。
優しい人達に囲まれて、恵まれた環境が、ボクを満足させてくれていただけだったんだ。


……。
その証拠に、ボクは自分の腕の中で泣くユイさんすら…。慰める事は出来ない。

自分の無力を責めて、大切な人を目の前で奪われる悲しみや後悔を抱える彼女に…。
ボクは、何も言ってあげられなかった。

あの日のボクと同じように苦しむユイさんの心を、救ってあげる事さえ出来ずにいる。


”離れなくていい…。”

あのたった一言で、ボクを変えてくれたヴァロン様。

一体どれ程頑張ったら、ボクは彼のようになれるんだろう…。

そして、どれ程の哀しみを抱えたら…。
彼を救う事が出来たんだろう…。

……
………。
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